不憫さを確かめる日記 24

中学一年生の冬ごろの話。

それまで10年ほど住んでいた都営アパートはとっくに契約の期限を過ぎており、引っ越さなければいけなかった。父親が主となって引越し先を決めた。離婚をするならこのタイミングがベストだと私は思っていたが、母親は片親の経済力で4人で住めるような引越し先を見つけるのが間に合わなかったのか、とうとう引越しが決まってしまった。母親は、父が決めたその新居を一度も見に行くことはなく、私たち子供が撮ってきた写真を見て把握していた。その家は賃貸ではなかった。リノベーションが施され、狭い間取りを誤魔化すために家の中がフローリングから何までが白く統一されていて、やけに明るく、とにかく居心地が悪かった。引越しのとき、父は私たちに向かって『家が狭い分、家族の距離も縮まるよ!』と言ってきたが、私はよくそんなことが言えるなと思った。冗談でも言えないぞと思った。父親もこの関係が良くなるなんて思ってはいなかっただろうから、本当に諦めの上で言ってみただけなのかもしれないが。