不憫さを確かめる日記 26

中学生の頃、すごく特別な女の子が居た。美術部が一緒で仲良くなり、他のクラスメイトとはできない色んな話をした。当時の私は一般的に悪趣味と言われるようなものにばかり興味があり、彼女とはよくそういう話をした。書肆ゲンシシャという大分にあるお店について話したり、本を貸したり、お互いの家庭の話をしたりした。

毎週火曜日と木曜日は放課後部室に行き、彼女と隣の席で、絵を描いたり宿題をやったりしながら話をする。帰るときはいつも一緒で、2人揃って好きだった社会の男の先生の私服を見かけてはお互いの手を掴んではしゃいだりした。いろんな話をたくさんした。

ある日、そんな特別な彼女との一切の関わりが絶たれた。LINEやTwitterInstagramなどあらゆる連絡手段が向こうから絶たれた。『ブロックされています』という無慈悲な言葉をただ呆然と眺めながら朝ごはんを無理やり呑み込んだことをよく覚えている。彼女はその頃美術部の先輩たちと仲良くなり、わたしの隣の席で絵を描くことは減り、のちに美術部を辞めた。彼女とは丸一年話さなかった。廊下ですれ違っても、まるで他人のように早足で通り過ぎていった。何よりも辛かった。

ほぼ毎日彼女の夢を見た。夢の中で何気なく話しかけ、あるきっかけから「今までごめんね」と吐き出す夢を見た。いつも、やっと話せたと夢の中で喜んだ。目が覚めると絶望した。夢の中で生きていた方が遥かにマシだと思った。

その頃、私にはさまざまな不幸せが同時に重なっていたのである。