不憫さを確かめる日記 5

幼稚園生の頃の記憶。

「今日は父の日なので、お父さんの似顔絵を描いてプレゼントしましょう」という園の指示があった。画用紙にクレヨンで描くのだが、私は父親の髪の毛や髭をなぜかこだわって、一本一本ていねいに描いていた。しかし、家に帰ってから意気揚々と父親に渡すと、「ありがとう…でももうちょっと髪の毛描いて欲しかったな。パパこんな髪の毛より髭の方がたくさん生えてないでしょ」と、軽く笑いながら、(ほんとうは言いたくないんだけど…)というような感じを醸し出しながらダメ出しをされた。実際私は一本一本髪を描いていたから、髪の毛の根本部分が埋まっておらず、まるでハゲかけのようになっていた。てっきり喜んでもらえるとばかり思っていた私は、そんなふうに思われるなんて思ってもいなかったから、ショックだった。喜んでもらえなかった、私のせいで父親に恥ずかしい思いをさせてしまったと思って、ひどく落ち込んだ。