不憫さを確かめる日記 17

小学校高学年くらいの話。

私が小学一年生の頃までは、母親は専業主婦をやっていた。しかし、小学二年生になった頃からは母親が仕事をするようになり、私の家庭は共働きとなった。私は、母親が父方の祖母からひどい扱いを受けているのをこっそり知っていたし、そんな中働いて、疲れて帰ってきてご飯を作って洗い物をしてお風呂を洗って掃除をして洗濯をして…と一日中気の休まる時間がない母親を常に心配していた。姉や弟はそういうことを全く気にかけるタイプではないから、私だけが過剰に心配していた。だから私は、学校から帰ってくるとまず家族全員分の洗濯をするようになった。家族5人分の洗濯を取り込んで、干して、畳んで、片す。家中の掃除もやった。弟はその頃反抗期で、ゲームをしながら食べたお菓子のゴミを床に投げ捨てるような、手の付けられないクソガキだった。私はそれをため息をつきながら拾って捨てる。「ちゃんと捨てて」と弟に言うと、かならず怒鳴られる。あるとき、『なんでお前みたいな人間がいるかなぁ』と言われた。そのときは流石に怒りでどうしようもない気持ちになって泣きそうになった。授業が終わって学校から帰ったら、洗濯をして、家中の掃除機をかけて、食器を洗って、お風呂も洗っていた。そして母親が帰ってきてそれを褒めてくれるのをやりがいに、勝手に家事を頑張っていた。しかし、これが結構精神にくるのだ。姉は出かけてばっかりだし、弟はゲーム以外何もしないし、「私だけがなんで」と勝手に思っていた。そして、学校のみんなが家事なんかしなくてものうのうと生きてられることが憎かった。私はその頃から精神がイヤに大人びていたのである。